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なんと世界でたった1本!

 

なんと世界でたった1本!

 

アドルフ・ランゲ像の前に立つウォルター・ランゲ

 

A.ランゲ&ゾーネのプレSIHHモデルがスゴイ!

 

 ご存じだとは思いますが、スイスで毎年3月に、主要な時計ブランドがその年の新作モデルをお披露目する見本市、バーゼルワールド。そして、それに先立ちリシュモングループの時計ブランドが主体となって1月に新作を発表するのがSIHH(開催は2018年1月15日〜19日)、通称ジュネーブサロンであります。
 
そのSIHHまで残すところ1カ月あまりに迫った12月7日。リュシュモングループに属する時計ブランドのひとつ、A.ランゲ&ゾーネからプレSIHHモデルとして、とても興味深い新作が発表されたのでご紹介しましょう。

 

1815ウォルター・ランゲへのオマージュのバリエーション

プレSIHHとして発表された「1815“ウォルター・ランゲへのオマージュ”」。

 

 このプレSIHHモデル。実は同ブランドの創業日である12月7日に毎年行われている恒例行事。ただ今回は、ある重大な出来事があったため、かなり特別な内容になっていました。それは、2017年のSIHH開催中に他界した、ランゲ家の4代目当主にして1990年のA.ランゲ&ゾーネ再興の立役者であるウォルター・ランゲ氏(上の写真)にちなんだものとなっているからです。
 
「彼の人生を永遠に記憶に留めるために開発した、特別な限定モデル」と発表されたこのモデル。最大の特徴は「ジャンピングセコンド」を搭載している点。簡単に説明すると、これは機械式ムーヴメントの特徴である、秒針が滑らかに運針するスイープ運針ではなく、機械式でありながらあえてクォーツのように1秒ごとにステップ運針させるというものです。
 
でもちょっと不思議じゃないですか。よく見るとセンターセコンドとスモールセコンドの両方ありますね。実はコレ、創業者であるフェルディナント・アドルフ・ランゲが1867年に開発し、当時、クロノグラフのランゲ懐中に搭載された「スタート・ストップ機能付きステップ運針式センターセコンド」に倣ったもので、厳密にはセンターセコンドは当時のようにクロノグラフ機構(つまりクロノグラフ秒針)を利用して表現しているようなのであります。。。。

 

クロノメーター

 そして、驚きはステンレススチールケースを採用したモデルが同時に発表されこと。恐らく公式にはランゲ史上初なのでは(間違っていたらゴメンナサイ)。しかも、限定1本というのもスゴイ!。今回がいかにスペシャルかがおわかりいただけるでしょう。ちなみに、このスティール・エディションは2018年に開催されるオークションに出品し、その収益金は慈善活動の支援のために寄付されるそうです。

 

■『1815“ウォルター・ランゲへのオマージュ”』。
K18YGケース:世界限定27本 (復興から今日までの歳月にちなんで)
K18WGケース:世界限定145本 (F.A.ランゲがブランドを興した1845年から再興の1990年までの年月にちなんで)
K18PGケース:世界限定90本(ウォルター・ランゲが商業登記した1990年にちなんで)
※参考予価 各47000ユーロ(※ドイツVAT税込)、2018年9月以降発売予定。


 

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

 
時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」、近年では女性向けウオッチマガジン「ワッタイム」と、時計関連の雑誌を次々に生み出す。また、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のプロデューサーとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。GERMAN WATCH.jp編集長。

2018.04.01 UPDATE