孤高の独立時計師 トーマス・ニンクリッツ
THOMAS NINCHRITZ
トーマス・ニンクリッツ
時計修復のエキスパートが立ち上げた
ニュルンベルクの独立系メーカー
時計修復のエキスパートとして、歴史的なアンティークウオッチから置き時計、さらには町の時計塔の復旧まで手掛けてきたトーマス・ニンクリッツがライフワークの一端として生みだしたコレクションである。
そのラインナップはどれもが古典的で、かつとても味わい深い。
往年の機械式時計本来の魅力に加え、どこか懐かしい温かみさえ感じられるものばかりだ。
そんなクラシカルな外装もさることながら搭載されるムーヴメントも特筆に値する。時計愛好家からも一目置かれる手巻きのユニタスムーヴメントをベースに、時計修復のエキスパートらしい様々な改良がふんだんに盛り込まれているからだ。
その最たる部分と言えるのが、すべての輪列を大きな1枚のプレートに配置する4分の3プレートに変更されている点であろう。つまり、支える面積が広い分、安定性が大幅に向上するというもので、古くからA.ランゲ&ゾーネも採用する仕様である。加えて、ゴールドシャトン、スワンネック緩急針など、まさに伝統的なグラスヒュッテ様式を取り入れた仕様にチューンナップされているのだ。
もちろんこれらはすべてハンドメイドで製作されている。そのために年産本数は100本前後とかなり少ない。しかし、それこそが大メーカーにはない価値を生み出していると言えるのかもしれない。
ハンドメイドの証としてムーヴメントにはナンバーを刻印
ムーヴメントはETA社の手巻きムーヴメント、ユニタス6498-1をベースにトーマス・ニンクリッツの手によってチューンナップされたCal.TN200である。
4分の3プレートに、受けにはブルースクリューによるゴールドシャトン止めが採用されている。さらにはスワンネック緩急針などグラスヒュッテの伝統的仕様に改良されているのが特徴だ。
さらにテンプのブリッジにはハンドエングレービングが施されるなど、まさに19世紀のグラスヒュッテにおける懐中時計を彷彿とさせる魅力的な作りだ。ハンドメイドの証としてプレートにはシリアルナンバーを刻印。微妙に個体差がありひとつとして同じものがないのも手作りならではだ。
(文◎菊地吉正)
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