ツァイトマイスターの魅力に迫る
WEMPE
ヴェンペ
ZEITMEISTER
20万円台から楽しめる身近なドイツ時計
“ツァイトマイスター”
グラスヒュッテの高級ドイツ時計ブランド“ヴェンペ”には大きく二つのコレクションが存在する。自社製ムーヴメントを搭載するハイエンドライン、クロノメーターヴェルケと20万円台から様々なモデルがラインナップするツァイトマイスターだ。今回はまず、比較的に手の届きやすい良心的な価格設定ながら高級機並みのクオリティを有しているツァイトマイスターの魅力に迫ってみたい。
ツァイトマイスターが、最初にリリースされたのは1950年代。1960年代にかけてはかなり人気を博したモデルだったようだ。そして、ブランド再興を果たした2006年に復活。現在はグラスヒュッテ天文台と同じ敷地内に2011年に完成した新工房で製造されている。
ツァイトマイスターについては、2016年9月に行われた10周年記念パーティー時のインタビューの際に、エグゼクティブディレクターのグンター・トイシャー氏は、130年以上もの歴史を誇る老舗の時計宝飾店として、長年の時計販売を通して得た「顧客目線のモノ作りと質の高い、そしてリーズナブルな時計を提供するという、ヴェンペのブランドポリシーを体現するコレクション」と語っている。
現にツァイトマイスターは、豊富なラインナップもさることながら、20万円台からと比較的手の届きやすい価格設定のエントリーラインである。しかもすべてのモデルは、ドイツクロノメーター基準をクリアするなど実力面からみると高性能機だ。
これについてトイシャー氏は、「我が社はかつてマリンクロノメーターのメーカーでした。そのためクロノメーターはある意味絶対条件なのです。そして、その基準をクリアするために、ムーヴメントメーカーから購入した汎用ムーヴメントであってもそのまま使うのではなく、すべて一度分解してから高い精度が出るように再調整したうえで搭載しています」と述べている。
しかしながら、同社は単純に分解再調整するだけではないからスゴイ。何とその際に、緩急針をエタクロンからより微妙な調整が可能で安定性も高く高級なトリオビスに交換し、耐震装置もインカブロックではなくバネの自由度が高く復元性が高いキフショックに変更している。つまり、贅沢すぎるほどのモデファイが加えられているのだ。ツァイトマスターが「ブランドポリシーを体現するコレクション」たるゆえんは、まさにこの点にあると言えるだろう。
また、ツァイトマイスターには、この高いクオリティに加えて、もうひとつ忘れてはならない魅力がある。それは、シンプルかつクラシカルで落ち着いたデザインだ。そのためビジネススタイルに合わせやすい。しかも最低限の機能から多機能モデルまで、使う人のライフスタイルに合わせた、様々な実用機能を備えたバリエーションが用意されている点もうれしい。これもある意味、時計の販売を通してこれまでユーザーの声を直接聞いてきたヴェンペらしさと言えるだろう。
生粋のドイツ時計にして、安心してしかも手軽に楽しめるツァイトマイスター。一考の価値ありである。
(取材・文◎菊地吉正/写真◎神戸シュン)
2018.06.07 UPDATE