ユンハンス 新作メガシリーズの実力に迫る
JUNGHANS
ユンハンス
ユニークな発想で電波時計の弱点を克服した進化版
前回、ユンハンスが同社を象徴する建設物テラスビルディングの完成100周年を祝うパーティーの場で革新的な新作を発表したことをお伝えした。今回は、この新作について掘り下げて紹介していきたいと思う。
発表された新作に与えられた名は、“マイスター メガ”と“マックス・ビル メガ”。同社のことを知る人ならば、この名を聞いて、なんとなくどういったモデルなのか、予想できたかもしれない。
頭の“マイスター”と“マックス・ビル”は、現在、同社を代表する2大コレクション名。そして“メガ”は、1990年に発表された世界初の電波式腕時計に与えられた名であることから、“主要コレクションをベースにした電波時計モデルではないか?”と、いうふうにだ。
ご覧のとおり、外観だけを見る限りその予想は大きく外れてはいない。
ただ機能性という点にまで注目すると、いままでにないユニークな発想で電波時計の弱点のひとつを見事克服した、進化版とも呼べる仕上がりとなっているのだ。
従来の電波時計の弱点というのが、ずばり“使用可能エリアが限定される”という点だ。
ご存じのように、電波時計は電波局より発信される標準電波を受信し、時刻修正を行っている。日本の場合、電波局は福島県のおおたかどや山標準電波送信所と、福岡・佐賀県の県境にあるはがね山標準電波送信所の2カ所があり、送信エリアが国内全域をカバーしているため、電波時計を使用するうえでなんら支障はない。日本のほか、ドイツ、イギリス、北米もこうした電波局が存在しているため、エリア内にいる限り、常に極めて正確な時刻が表示される。つまり、エリア外では、通常のクォーツ時計となんら変わりないのである。
世界規模で考えると電波時計が使用できるエリアは圧倒的に少ない。これが絶対的な精度を誇りながらも電波時計が広く普及していない1番の要因だ。
さて、最新作ではいかにして、この弱点を克服したのか。
それが“Junghans MEGA”と名付けた新開発のアプリケーションの導入(2018年10月以降予定)である。
このアプリの最大の特徴が時刻情報を発する、つまりアプリ自体が電波局の役割を果たす点だ。そのため、地球上、どのエリアにいても絶対的な精度を維持できるだけでなく、任意のタイムゾーンの設定も行えるという優れモノなのである。
しかも、だ。電波ムーヴメント自体は、一般的なものとほぼ同サイズなのである。受信アンテナやバッテリーを搭載する関係で、小型化が難しいというGPSウオッチに対して、これは大きなアドバンテージと言えよう。
実際、新作のマイスター メガのケースは直径38.4㎜、厚み9.6㎜と比較的小型。快適な装着感を実現するだけでなく、デザインの幅も広がる。
受信エリアが限定されることから、一部のマーケットでしか存在意義のなかった“電波時計”の新境地を開くモデル。それがユンハンスのマイスター メガとマックス・ビル メガなのである。
(文◎堀内大輔)
2018.08.30 UPDATE