1815アニュアルカレンダー インプレッション
A.LANGE & SÖHNE
A.ランゲ&ゾーネ
上品な顔つきと実用志向の作りが
魅力となった1815アニュアルカレンダー
A.ランゲ&ゾーネの創始者フェルディナント・アドルフ・ランゲ。手工芸技術を駆使した美麗な仕上げと、F. A.ランゲが考案した様々な技術はドイツ高級時計産業の発展に大きく寄与し、その影響は現代にも及んでいる。
ドイツ時計産業の立役者であるF. A.ランゲへの敬意の表れとして、A.ランゲ&ゾーネが今日展開しているコレクションが、彼の誕生年を冠した“1815”である。
古典的な要素を随所に取り入れながらも、優れた視認性を追求した明快なデザインで現代にふさわしい時計となった“1815”ファミリーは、現在8つのモデルを展開。シンプルな3針モデルからグランド・コンプリケーションまでと幅広いラインナップが揃う。
意外と知られていないが、アニュアル(年次)カレンダーは登場から約20数年と比較的新しいカレンダー機構である。にもかかわらず、1年に1回、3月1日にだけ日付けを調整するだけで翌2月末まで、毎日の日付け、曜日、月を自動表示するという、その高い利便性が評価され、高級腕時計において重要なポジションを瞬く間に獲得した。またパーペチュアル(永久)カレンダーほどメカニズムが複雑ではないため価格が抑えられるという点でもメリットとして挙げられ、ユーザー層を広げた。
1815 アニュアルカレンダーに搭載された専用設計のCal.L051.3では、2時位置のボタン操作ですべての表示を連動して進めることもできるため、時計を止めてしまい再調整が必要になった場合にも、非常に便利である。
手巻きムーヴメントを搭載し、デザインも古典的な懐中時計の趣きとなった1815 アニュアルカレンダーだが、その内実は現代にふさわしいスペックを有し、実用を追求した1本なのだ。
他方、ブルースチール針やアラビア数字、線路をイメージしたレイルウエイトラックなどで構成される古典的な文字盤は、表面を荒らすことで派手すぎない、極めて上品かつ高貴な雰囲気を漂わせている。この上品な意匠によりフォーマルなスタイルはもとより、少しカジュアルな位のスタイルでもマッチしてくれる。
またケース径は40㎜、厚みは10.1㎜にまで抑えられている。アニュアルカレンダーモデルの標準的なサイズと比べれば、1815アニュアルカレンダーのサイズは小振りで、装着感も良好。ここにも実用を意識したブランドのこだわりが垣間見える。
(文◎堀内大輔/写真◎笠井 修)
2019.03.07 UPDATE