手作りながら80万円台! アカデミーも認めたドイツ人独立時計師“ステファン・クドケ”が生み出す、魅惑のスケルトンウオッチとは!
手作りながら80万円台! アカデミーも認めた
ドイツ人独立時計師“ステファン・クドケ”が生み出す、
魅惑のスケルトンウオッチとは!
独立時計師のステファン・クドケ氏が展開するドイツの時計ブランド“クドケ(KUDOKE)”。2018年には自身初となる自社製手巻きムーヴメント、カリバー1を完成させ、それを搭載したクドケ1と、続く第2弾のクドケ2を19年に発表。同年にはこれら2モデルの創造性と技術力が高く評価され、独立時計師創作家協会(AHCI、通称アカデミー)から、準メンバーに選出された。
そして、クドケ2に至っては、同じく19年に行われたGPHG(ジュネーブ時計グランプリ)で“Petite Aiguille(小さい針)賞”を受賞(詳しくは2019年12月20日の記事参照)するなど、いまや愛好家も注目する存在である。
そんなクドケ氏だが、いまでこそこれらの自社ムーヴメント搭載モデルに注目が集まっているが、そんな彼のルーツになっているのは、実は美術工芸品のように繊細な作りのスケルトンウオッチコレクションなのである。
時計師であると同時に優れた彫金師でもある彼は、デザインから図案のスケッチ、パーツの切り出しからムーヴメントの組み上げに至るまで、その一切を手作業で行う。そのためスケルトンウオッチを仕上げるためには数週間を要するというほどだ。写真はその代表作にして人気モデルとなっている “ブラックビューティー”である。
ベースとなっているのは、懐中時計用の手巻きムーヴメントとしても知られるユニタス6498。これを分解し、なんとワイヤーカット放電加工機ではなく、自らが糸鋸で地板に一つひとつ錐で穴を開けて切り抜いていくという、そのため最低1日、複雑であれば2日はかかるという手間のかかる作業だ。
糸鋸で肉抜きされたムーヴメントのプレートは、次にエッジの面取り作業に移る。まずダイヤモンドカッターで削り、目の違う数種類のゴム砥石を使い、同じ面に対して4回ほど作業を繰り返して丁寧にならしていく。そうして美しい面に仕上げていくというわけだ。
しかも、最後のメッキ処理まで自分でやるというから驚かされる。クドケ氏は「手間がかかるため、作業を受けてくれる業者がなく自分でやっている」と言う。スケルトンウオッチを見るとわかるが、場所によってメッキの色を変えている。つまり1色ではないからだ。なお、さらに詳しく知りたい方は、実際にドイツ本国の工房に編集部が赴いて取材しているので、その記事『ドイツ時計「クドケ」が生み出すスケルトンウオッチの妙』を参照してほしい。
さて、このようにしてほとんどを手作りによって完成した時計は、もちろんひとつとして同じものが存在しない。まさにこれこそが機械では絶対成し得ない味わいであり、クドケならではの魅力となっていることにほかならないのである。
いまや多くのバックオーダーを抱えるほどの人気を博すクドケ氏、彼の時計作りの真髄とでも言えるこのスケルトンウオッチコレクションの繊細にして独創的な作りは、まさに一見の価値ありである。
独創性に富んだ三つのスケルトンウオッチコレクション
(右)エイチエスワン リング(HS1 RING)
リング状のインデックスが設けられるなどクドケのスケルトンコレクションのなかでは時計としての実用性を有した作り、表面の仕上げはロジウムメッキのワントーンのため比較的に落ち着いた雰囲気だ。SS(42mm径)。5気圧防水。手巻き(ユニタス6498)。99万円
(中)エイチアールワン(HR1)
ローズゴールドメッキされたスケルトンのプレートがほどよく華やいだ雰囲気を醸し出している。青焼きされた針の美しいブルーとベルトの茶との相性も抜群だ。大人のオシャレ心を感じさせる作り。SS(42mm径)。5気圧防水。手巻き(ユニタス6498)。88万円
(左)レクレーター(ReKulator)
6時位置に時針、文字盤中央のセンター軸に分針と時分針を別々にセットする特徴的なレギュレーター機構を搭載。エングレーブだけでなく時計師としての技術力の高さを感じさせるモデルといえる。SS(42mm径)。5気圧防水。手巻き(ユニタス6498)。132万円
文◎菊地吉正(編集部)
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