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グラスヒュッテ・オリジナルの高精度ムーンフェイズ

グラスヒュッテ・オリジナル
セネタ・エクセレンス・パノラマデイト・ムーンフェイズが搭載するCal.36の派生機、Cal.36-04。Cal.36に、おなじみのパノラマデイトと高精度ムーンフェイズを搭載したものだ。この美しいムーヴメントもエクセレンスではケーシングされた後、1日目に実施される時計の設定と24時間の姿勢検査、2~13日目の6姿勢での検査・調整、14~16日目の温度変化対応、17~22日目の歩度の安定性と100時間の総作動時間検査、23、24日目の耐水、外観、機能検査が課せられる

 
 

GLASHÜTTE ORIGINAL

グラスヒュッテ・オリジナル

 

本命登場で第2幕スタート

精度と象徴の“エクセレンス”


 2016年に発表されたグラスヒュッテ・オリジナルのベースムーヴメント、Cal.36。同社はこのムーヴメント開発にあたり、四つの原則を掲げたという。プレスリリースに従えば、“歩度および構造全体の極めて優れた安定性”にはじまり、“最高の精度”、“長いパワーリザーブ”、そして“時代を超えた美しさ”だ。
 
 まず、ひとつめの安定性を確保するため、Cal.36を搭載するエクセレンスでは非常にユニークな方法が取られた。一般に時計のムーヴメントは機留めと呼ばれるネジ留め方式でケースに固定されるが、エクセレンスではムーヴメントの固定にバヨネットマウント方式を採用した。バヨネットマウントはカメラのレンズを本体に固定する際によく見られる構造で、ケースをムーヴメントに押し回すようにセットすることでムーヴメントとケースのツメが噛み合い固定される。ネジの分だけ部品が減り、加えてネジ留めよりも衝撃に強い優れた構造だ。また、ゼンマイの巻き上げが逆回転しないように通常、ツメ状のストッパーが香箱車の上の角穴車に配置されるが、Cal.36ではその役割を両方向巻き上げの減速ギアに持たせた。これも摩耗に弱い部品を廃止する、耐久性に配慮した合理的な設計だ。
 
 精度への配慮はより一層入念だ。精度の要となるヒゲゼンマイには、温度変化と磁場の影響に強いシリコン製ヒゲゼンマイを採用。加えて、テンプには緩急針不要のフリースプラングを採用し、テンプのリムに歩度調整のために六角形のスクリューが四つ設けられた。さらにCal.36ではムーヴメントをケーシングした状態で24日間、6姿勢、3温度差での精度検査と調整が行われる。対してドイツクロノメーターの認定検査が5姿勢、15日間、3温度差の環境下で行われることからも一目瞭然。自社検定とはいえ、ドイツクロノメーターよりもはるかに厳格な品質検査をクリアしている。

 

エクセレンスが採用するバヨネットマウントによるムーヴメントとケースの固定システム。実際には、固定されたムーヴメントにミドルケースを押し回すことでムーヴメントとケースを固定する


香箱に納められる主ゼンマイ
香箱に納められる主ゼンマイの長さは680㎜。毎時2万8800振動のハイビート機で100時間ものパワーリザーブを実現できたのは、主ゼンマイが採用する素材、エリンフレックスの存在が大きい
四つの小さな調整ネジをもったテンプ
四つの小さな調整ネジをもったテンプ。シリコン製ヒゲゼンマイはこのCal.36からグラスヒュッテ・オリジナルの時計で初めて導入された。スワンネックスプリングは装飾的な意味合いのほうが強い
特殊なロッカーギア
自動巻き上げ機構が作動すると、写真の特殊なロッカーギアが手巻き輪列の伝達を解除。エネルギーの節約が可能になる効率の良い自動巻き上げ機構も100時間もの長いパワーリザーブを支える
自動巻きの両方向巻き上げの減速ギア
写真中央に見えるルビーの受け石を持つ歯車が自動巻きの両方向巻き上げの減速ギア。この部品が一般的なムーヴメントにおける、巻き上げたゼンマイの戻り止めストッパーの役割も果たしている

 

 また、Cal.36は100時間のパワーリザーブを備えるが、そのために香箱は新規設計された。具体的には香箱の直径を拡大し、香箱真を小さくすることで主ゼンマイの長さを延長するスペースを確保。さらにはきつく巻き上げても主ゼンマイが壊れないよう、ニヴァロックス社が開発した耐久性に優れた新素材“エリンフレックス”を主ゼンマイに採用。これにより巻き数を大幅に増やし、ワンバレルでありながら100時間ものロングパワーリザーブを実現している。
 
 そして、美しさ。4分の3プレートやグラスヒュッテストライプ、青焼きしたネジなどグラスヒュッテの腕時計に典型的な装飾はもちろんだが、注目すべきは手巻き機構の輪列だ。ムーヴメント上部に意図的にレイアウトすることで、リューズを巻き上げる度に作動する様子を見ることができる。見た目だけでなく、メカニズムの美しさを見せるという配慮だ。
 
 さらに2017年、Cal.36を搭載するエクセレンスに2枚のデイトデイスクの間の段差、そして、すき間を隠す間仕切りバーのない“パノラマデイト”を備えるバリエーションが投入された。パノラマデイトは1997年に発表された機構で、グラスヒュッテ・オリジナルを象徴するアイコンともなっていたものだ。
 
 パノラマデイト20周年の節目に投入されたエクセレンスは同社のウオッチメイキングにおけるマイルストーンとなる傑作と言っても過言ではないだろう。(文◎佐藤杏輔)

 

セネタ・エクセレンス・
パノラマデイト・ムーンフェイズ

 
パノラマデイトと高精度ムーンフェイズを備えたモデル。ムーンフェイズはドイツ、フォルツハイムの自社文字盤工場で製作。ダイヤモンド研磨された月がガルバニックブルーの星空に浮かぶ。美しいだけでなく、理論上は122年で1日の誤差しか生じない高精度を誇る。また、ケースバックには厳格な自社の品質検定をパスした証であるQマークが刻印される。
■Ref.W136-04-01-02-50。SS(40㎜径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.36-04)。136万800円


VARIATION

セネタ・エクセレンス・パノラマデイト

 
Ref.W136-03-01-02-50。SS(40㎜径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.36-03)。123万1200円

セネタ・エクセレンス・パーペチュアルカレンダー

 
Ref.W136-02-01-02-50。SS(42㎜径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.36-02)。254万8800円

 

問い合わせ:グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座 TEL.03-6254-7266
www.glashuette-original.com/ja

2018.04.01 UPDATE