普遍的な美と最新技術の融合したマックス・ビル バイ ユンハンス
JUNGHANS
ユンハンス
ドイツプロダクトに流れるデザイン思想
ドイツ時計は、スイス時計とはまたひと味違った魅力があると言われる。
その独自性を際立てている要素はいくつかあるが、多くの人が真っ先に浮かぶのが洗練されたデザインであろう。
この洗練されたデザインの根底にあるのが、20世紀初頭にドイツから始まった、機能に則した形態が最も美しいとするデザイン思想だ。中心となったのは1919年にドイツ、ワイマールに設立された建築と美術に関する国立総合芸術学校で、この学校こそ、よく耳にする“バウハウス”なのである。
〝シンプルかつ美しい造形〟〝大量生産を前提とした知的な設計〟そして〝高い機能からくる合理性〟などの指針を打ち出したバウハウスの理念は、国境、時代を超えて広がっていった。
そのため現在でも、その影響がうかがえるプロダクトは散見される。そのなかでもこの精神を最も体現している腕時計が、ユンハンスが展開する“マックス・ビル バイ ユンハンス”であろう。
シンプルで奇をてらったところがないミニマルなデザイン。それでいて極めて高い視認性を実現している点など、まさにバウハウスデザインの極致と言える。
それもそのはずで、このモデルはモデル名が示すとおり、“バウハウス最後の巨匠”とも称された偉大なデザイナー、マックス・ビルがデザインを手がけたものだからだ。
ここで、改めて“バウハウス最後の巨匠”とも称されたマックス・ビルの経歴にも触れておこう。
スイスのウィンタートゥールで生まれたマックス・ビルは、1927年、絶頂期にあったデッサウ時代のバウハウスに入学する。そこで2年間、創設者のヴァルター・グロピウスほか、当時最高峰のデザイン教授たちに師事し、デザインを学んだ。
29年、チューリッヒに移った彼は、建築家、画家、グラフィックアーティスト、彫刻家、広告デザイナー、プロダクトデザイナーとして多分野で活動しはじめる。彼の当時の代表作にコンクリート・アートの“一つのテーマに対する15のバリエーション”(1935〜38年)がある。
そして55年、数々の功績が認められ、ウルム造形大学の初代学長に就任。ナチスの台頭により33年に閉校を余儀なくされたバウハウスのデザイン教育を継承するべく尽力した。これがマックス・ビルがバウハウス最後の巨匠たるゆえんである。ちなみに同校からも、ポルシェ911のデザインを手がけてことでも知られるフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェら数々の名デザイナーを輩出した。
また学長時代、彼は産学協同のデザイン・プロジェクトにも積極的に取り組んでいた。
そのなかで生まれたもののひとつが、彼がデザインを手がけたユンハンスのウォールクロックだ。さらに61年にはこれをベースに腕時計のデザインを起こしている。
現在展開されている“マックス・ビル バイ ユンハンス”は、いまもこのデザイン画をほぼ忠実に再現しているのである。
時代に合わせてコレクションを拡充
今日、“マックス・ビル バイ ユンハンス”は、手巻き、自動巻き、クォーツモデルなど展開されているほか、トレンドに合わせた多種多様なカラーバリエーションが展開されている。
さらに最新作の“マックス・ビル メガ”では、ミニマルなデザインはそのままに新開発の電波クォーツムーヴメントを搭載し、機能性をいっそう充実させている。
とりわけ時刻の正確性は極めて優秀だ。秒針が0.5秒ずつ運針するSHM技術(スマートハンドモーション)や、1日1440回、最新の受信時刻情報と比較し必要に応じて自動調整するITC技術(インテリジェント・タイム・コレクション)といった最新技術を組み込むことで、電波受信エリア内であれば、100万年の間の時間偏差が、0.006秒という驚異的な精度を実現している。
また、合わせて開発されたアプリケーション“Junghans MEGA”(※現在、アプリケーションの実装はAndroid版のみ。iOS版はアップル社の承認待ち)を介して、スマートフォンと同期させることで、現地のタイムゾーン切り替えも容易に行えるなど、さらなる機能性も発揮する。
マックス・ビルが手がけた美しいデザインと最新技術による優れた機能性を融合した最新作の“マックス・ビル メガ”は、いま最もバウハウスデザインの理念を体現する1本なのだ。
2019.01.30 UPDATE