バーゼルワールド2018
BASEL WORLD 2018
初のトゥールビヨンを発表
ザクセン州の首都ドレスデンに工房を構える独立系ブランド、ラング&ハイネ。往時の宮廷時計の伝統を受け継ぐ時計作りを現代に貫き、部品の95%を自社で作り上げるという、徹底したハンドメイドにこだわる独立系ブランドである。
そんなラング&ハイネは、今年のバーゼルワールドにおいて長年アイディアを温めていたというトゥールビヨンを完成させ、その搭載モデル“ANTON(アントン)”を発表した。
トゥールビヨンといえば、ここザクセン州グラスヒュッテとのゆかりは意外にも深い。1900年代前半、グラスヒュッテ・ドイツ時計学校の教授を務めたアルフレッド・ヘルウィッグが、トゥールビヨンを支えるためのブリッジをなくしたフライングトゥールビヨンを完成させ、ムーヴメントの薄型化を実現したという歴史がある。
ラング&ハイネのトゥールビヨンは、そんな伝統に従い、非常に繊細で軽量。しかも琴座型という、とても独創的なスタイルのケージを備えているのが特徴だ。ムーヴメントは2017年に発表されレクタンギュラーモデル、GEORG(ゲオルク)に搭載された、同社初となる角型のキャリバー8を改良したキャリバー9。つまり9番目の自社製ムーヴメントということになる。
エナメルダイアルには、レイルウエイトラックに古典的なアラビア数字、そしてランセット型の時分針をセット、なんとも歴史を感じさせるような味わい深い作りである。そして6時位置に設けられた大型の開口部からは、繊細なトゥールビヨンのケージを見ることができる。また、シースルーの裏ブタから見られるムーヴメントの独創性と美しさも圧巻。刻印されたブランドロゴの両サイドには、ラング&ハイネの新しいマスターピースを象徴するように、さり気なく二つのダイヤモンドがシャトン留めされているのが見てとれる。
ちなみに、ANTONとは、ザクセン選帝侯フリードリッヒ・クリスティアンの5番目の息子(1755年12月27日〜1836年6月6日)の名に由来する。(文◎菊地吉正)
2018.04.07 UPDATE