角形ムーヴメントを搭載する待望のレクタンギュラーモデル
MORITZ GROSSMANN
モリッツ・グロスマン
日本からの提案で実現
世界に先駆けてお披露目
2015年に初上陸を果たしてから年々その存在感を高めているモリッツ・グロスマン。そんなグロスマンが2019年の顔として発表したのが同社初のレクタンギュラーモデル“コーナーストーン”である。
実は今回、バーゼルワールドで新作を一挙に発表する従来のスタイルから、インターナショナルロードショーとしてドバイ、東京、香港、ロンドンの各都市で新作を披露する新しいスタイルとなった。
ちなみに日本ではバーゼル開催前の3月7日に、東京・文京区にあるモリッツ・グロスマン ブティックでお披露目された。日本は重要なマーケットとみえて、これはドバイに続く2番目の速さ。しかも今回の目玉であるコーナーストーンは日本が最初のお披露目だったのである。実はこのコーナーストーン、日本市場からの提案によって実現したものだという。
今回、筆者はこのジャパンロードショーとは別に日程を設けてもらいじっくりと実機を見させていただく機会を得た。そのためここに掲載した写真はすべて実機を撮影したものであり、筆者も実際に着けさせていただいている。その感想も含めて紹介させていただこうと思う。
さて、そもそもレクタンギュラーモデル自体、歴史のある高級ブランドを見渡しても極端に少ない。それが新興ブランドとなるとなおさらである。その理由は単純でレクタンギュラーモデルの場合はそれ専用の角形ムーヴメントを新たに開発しなければならないのと、開発できたとしても丸形のムーヴメントに比べて汎用性がないため、コスト面でかなり割高になってしまうからである。
開発がスタートしたのは2016年後半というから実に2年以上の開発期間を経て完成させた。搭載する手巻きムーヴメント、Cal.102.3は、もちろんコーナーストーン専用に新設計されたものだ。
最大の特徴はこのムーヴメントの半分弱を占める大きな香箱。これによって60時間ものパワーリザーブを実現し、しっかりとユーザビリティーが高められた。また、時分針をセンターに置くため、4番車を中心よりも外側に配置したぶん秒カナを介したインダイレクト方式によって、スモセコを6時の正位置に軌道修正した。それによって実現したこの均整のとれた美しい文字盤レイアウトも大きな魅力と言えるだろう。
今回、エナメル文字盤のローズゴールドケースを着けさせてもらった(上の写真)が、雰囲気はもちろんのこと、サイズ面のバランスもなかなか良い。発売は7月を予定しているとのこと。
今回のインターナショナルロードショーでは、コーナーストーンのほかにGMTモデルとレディースモデルの2種類の新作もお披露目された。
GMTモデルはモリッツ・グロスマン初となる。第2時間帯は基本デザインを損なわないように文字盤外周に設けられた三角マーク(写真上の下)が時分針と連動しながら移動してセカンドタイムゾーンの時間を指し示す。そして、それは10時位置のリューズで調整できるというものだ。
もうひとつの新作テフヌート アラビアンナイトは、モリッツ・グロスマン初のブレスレットモデルである。一瞬オーバル型ケースかと見間違うほど独創的かつ芸術性に富んだデザインが目を引くレディースモデルだ。搭載するのは小型の手巻きムーヴメント、Cal.102.0。
取材・文◎菊地吉正/写真◎笠井 修
2019.06.20 UPDATE