ドイツ時計の魅力を再考する<ストーヴァ>
STOWA
ストーヴァ
デザイン界の巨匠と生み出した新生ストーヴァの象徴
フォルツハイムでウォルター・シュトルツにより1927年に創業されたストーヴァ。1970年代以降、一時休眠状態にあったが、96年に独立系ブランド、“シャウアー”のオーナー、ヨルク・シャウアー氏が経営を引き継ぎ、2004年から旧ストーヴァ時代の時計をリノベーションしたアイテムを展開している。
そんなストーヴァに新たな展開を生んだのが同郷の世界的な工業デザイナー、ハルトムット・エスリンガー氏とシャウアー氏の出会いだった。シャウアー氏が手紙を送ったことで始まる両者の交流は共同プロジェクトに進展し、2014年にロゴを刷新。翌15年にはそれまでにない新しいコレクション“ラナ”を生み出した。
そのシンプルなデザインは無駄を省いて機能を追求するバウハウスの影響を感じるが、文字盤の意匠、ケースフォルムにバウハウスの文脈を超えて感性に訴える斬新さが際立つ。
たとえば、インデックス。ドットの大きさに変化を付けた意匠はダイナドットインデックスと命名され、時間の流れを表現し、視覚的な効果により抜群の視認性を実現する。フローティングディスクと呼ばれるケースは、ラウンドケースの両サイドをカットすることでシンプルながら明確な個性を備え、、しかも直線的なラグ、ストラップと絶妙に調和する。
これらはいずれもエスリンガー氏のアイデアだが、そのアイデアを時計として具現化したシャウアー氏の手腕もすばらしい。
フローティングディスクは自らをウオッチビルダーと称するシャウアー氏がハンドフィニッシュで研磨し、見た目とは裏腹に驚くほど滑らかな質感を備える。一方、ケース下部は射出成型を採用することで手首にフィットする美しいフォルムを備え、これまでにない均整の取れたケースとなった。いずれも、彫金師のマイスターとしての技術、見識を発揮したシャウアー氏ならではの作り込みといえるだろう。
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