ヴェンペはドイツにクロノメーター検定を復活させた立役者だった!
WEMPE
ヴェンペ
荒廃したグラスヒュッテ天文台を再建しドイツクロノメーターの制定を主導
長らく歴史の途絶えていたドイツのクロノメーター検定を復活させたヴェンペ。その拠点となるのが同社が所有するグラスヒュッテ天文台である。
世界でも有数の時計商であると同時に、いまや優れた時計メーカーとしても認知される“ヴェンペ”。年間数台ではあるが、いまもなおグラスヒュッテでマリンクロノメーターの製造を続ける同社は、その出自もあって、とりわけ“精度”に対して強いこだわりをもつ。
2005年、荒廃していたグラスヒュッテ天文台を買い取り、クロノメーター認定局を再建。同社が主導して再びドイツにクロノメーター検定制度を復活させたことは有名だ。そのためヴェンペの機械式時計は、すべてドイツクロノメーター仕様である。加えて自社で時計を作ることで、中間コストを抑え、質の高い製品を手の届く価格帯で提供しているのだ。
ラインナップには、自社製ムーヴメントを載せた上位コレクションの“クロノメーターヴェルケ”などもあるが、同社でいっそう見るべきは、高品位ブレスウオッチの“アイアンウォーカー”とクラシカルラインの“ツァイトマイスター”だろう。これらに注目してもらいたい理由は、50万円アンダーと控えめな価格設定ながらも、その内実はスイス製のミドルレンジに匹敵するクオリティを備えているからだ。
ポリッシュとサテンを仕上げ分けしたシームレスなケースフォルムが特徴となった高品位ブレスウオッチ。本作は、日本の老舗百貨店“三越”の開業350周年を記念して製作された限定仕様で、赤のアクセントを効かせた特別なカラーリングが採用されているほか、裏ブタに“M350”の文字があしらわれている。
■Ref.WI690014 M350。SS(40mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.SW300-1a)。三越限定35本。43万4500円
小窓による月・デイ表示、ポインターデイト、さらにムーンフェイズを備えるカレンダーモデル。これももちろんドイツクロノメーター仕様だ。また裏ブタの造形も注目したいポイント。天文台のモチーフはエングレーブ加工、メーカー名も彫り込みで仕立てられているなど、かなり手が込んだ造形となっている。
■Ref.WM350001。SS(42mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.ETA2892-A2 mit Modul DD5900)。46万2000円
搭載するのはいずれも汎用エボーシュである。しかしヴェンペはそれを一度完全に分解し、チューニング(具体的には緩急針を高級なトリオビスに、耐震装置をキフショックに改めるなど)を加えて組み直すことで、ドイツクロノメーター規格をパスする精度に追い込んでいる。 また外装の造形や装着感についても然り。時計商という立場から蓄積してきた知見を生かして、非常に高いレベルで仕上げられている。
文◎堀内大輔(編集部)/写真(時計)◎水橋崇行
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