【黄金比で構成された完璧なダイアルデザイン】ランゲ1・パーペチュアルカレンダーを実機レビュー
A.LANGE & SÖHNE
A.ランゲ&ゾーネ
時計ファンなら“いつかは”と憧れるであろうブランド、A.ランゲ&ゾーネ。1990年代にブランド復興を果たしてからは、グラスヒュッテの時計製造技術を真っ当に継承しており、マニュファクチュールとしての完成度には一切の妥協がなく、そのプロダクトは息を呑むほど美しい。同社の代表ラインであるランゲ1は、オフセンターにセッティングされた時刻表示や各種ダイアルが印象的だが、その配置は黄金比に基づいたもので、独創的ではあるが決して奇をてらったものではない。そのランゲ1に2021年新たなパーペチュアルカレンダーモデルが加わった。もともとランゲはパーペチュアルカレンダーを得意とするブランドだが、このモデルの表示方法はかなりユニークなものだ。
ランゲ1・パーペチュアルカレンダー

A.ランゲ&ゾーネのパーペチュアルカレンダーと言えば、近年だと2016年発表のランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダーが有名だ。超精密なトゥールビヨンにパーペチュアルカレンダーを載せたランゲらしい複雑かつ贅沢な時計で、価格も4000万円超えのハイエンドモデルだが、今回のモデルはこれからトゥールビヨンを取り去ったような仕様だ。
それまでのダトグラフやラトラパントのパーペチュアルカレンダーモデルでは、月表示をインダイアル表示していたのだが、ランゲ1ではダイアル外縁のリングで表示するスタイルを採用。そのために均整の取れた美しいダイアルデザインはそのままに、全体がスッキリした印象になった。デイト表示はおなじみのアウトサイズデイト。さらに9時位置に曜日表示、7時位置にムーンフェイズとデイナイト表示を備えている。6時位置のインジケーターにはうるう年表示があり、ここがパーペチュアルカレンダーたる由縁。西暦2100年まで一切の調整なしでカレンダーが作動し、すべての動作はクイックチェンジで深夜0時に瞬時に表示が変わる。外周の月表示が変わるところなどは、かなり動きが面白くて見応えがある。言葉で説明すると煩雑なダイアルのようだが、実際は写真をご覧いただければわかるように、各表示がバランスよく並んだスッキリしたデザインで、必要な情報をすぐ読み取れるようになっている。
ケース素材は上品なピンクゴールドで、これがグレーのダイアルによくマッチしている。ケースサイドのサテンとポリッシュの使い分けも見事だ。ケースサイズは41.9mmとカレンダー表示を読み取るのにベストな大きさで、厚みは12.1mmとコンプリケーションとしては薄型設計になっている。しかし、実際に装着してみると、ゴールド素材の重みもあってずっしりした感触が伝わってくる。見た目よりは重厚な印象だが、この重みはむしろ腕にかなり心地良い。
搭載ムーヴメントはCal.L021.3で、これはランゲ1向けとしては初の自動巻き搭載となるCal.L021.1にパーペチュアルカレンダーを追加したもの。サスペンション式センターローターにはブランドロゴの装飾とプラチナ製の分銅があしらわれており、コート・ド・ジュネーブ仕上げのブリッジやシャトン留めの石ものぞける美しいムーヴメントだ。ランゲらしい見た目の秀逸さに加え、パワーリザーブも50時間と余裕があり、しっかりと実用性を考慮している点は素晴らしい。レザーストラップも上質なのだが、バックルは普通のピンバックルでちょっと面白みがない。ここはもっと機能性を考慮したものを合わせてほしかったところだ。
モデルバリエーションとしてはホワイトゴールドケースにピンクダイアルのモデルもあって、こちらは150本限定だというから、現状のランゲ人気を考えると入手はかなり困難だろう。トータルに見るとほとんど欠点は見当たらない素晴らしい時計なのだが、それも当たり前。なにしろ価格は1000万円を超えるわけで、手に入れられるのは一部の時計ファンだけだ。とはいえ、これだけ美しいコンプリケーションウオッチというのもなかなか類を見ないわけで、時計ファンであればぜひ店頭で実物を一度拝んでみてほしい。
構成◎堀内大輔(編集部)/文◎巽 英俊/写真◎笠井 修
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