ノモス・グラスヒュッテ社副社長が日本限定モデルを引っさげて来日
NOMOS GLASHÜTTE
ノモス グラスヒュッテ
30気圧防水にブレスレット仕様
初の本格スポーツモデル登場
去る6月6日、GINZA SIX(ギンザシックス)にある銀座蔦屋書店において、ノモス・グラスヒュッテ2019年新作モデルの発表会が開催された。それに合わせて、本国ノモス・グラスヒュッテ社から副社長であるメルリン・シュベルトナー氏が来日。筆者はドイツ取材時に会って以来4年振りだったこともあって、今回は単独取材の時間を取ってもらい、新作について直接話を聞いた。
ではまず新作の紹介の前にノモス・グラスヒュッテとはどんな時計メーカーなのか、簡単に触れさせていただく。
創業したのは1990年のこと。本社はドイツ高級腕時計の聖地とも言われており、A.ランゲ&ゾーネやグラスヒュッテ・オリジナルも本拠を置く、ドイツ東部の小さな山あいの町、グラスヒュッテにある。社長はウヴェ・アーレント氏。そして今回来日した副社長のメルリン氏は、創業者であるローランド・シュベルトナー氏の息子に当たる。
ノモス・グラスヒュッテの時計はすべてのコレクションにおいて、ドイツ・バウハウスのデザイン理念を思わせるシンプルにして実用的、そしてスタイリッシュなデザインなのが特徴だ。加えて手の届く価格帯も大きな魅力と言えるだろう。実は筆者もそんなシンプルなデザインが気に入って1本所有している。
そして近年は、デザインだけでなく自社ムーヴメントの開発にも力を入れており、2015年にはついに完全自社製の薄型自動巻きムーヴメント、DUW3001。2018年には独自のカレンダー機構(2019年特許取得済み)を備えたDUW6101を完成させ、いまやグラスヒュッテを代表する時計メーカーに成長した。
そんなノモス グラスヒュッテが2019年新作の目玉として発表したのがタンジェントスポーツ ネオマティック 42デイトとクラブスポーツ ネオマティック 42デイトという2種類の本格スポーツモデルで、しかも同社初となるブレスレット仕様だった。
ブランド初と聞いて驚く人も多いかもしれないが、かつてノモス グラスヒュッテといえば、すべてレザーベルトのみで、しかもコードバンというレザーで統一されていた。
実は2013年にアホイという初のスポーツモデルがリリースされた際に、今後メタルブレスモデルの計画はないのかと質問をしたことがある。
その時メルリン氏は「ベルトも含めてデザインとして完成されているものなので、あえてブレスモデルを出すつもりはない」ときっぱりと否定した。
そこで今回、そのことを伝えつつ、なぜ今回メタルブレスモデルを出したのかと、少々意地悪な質問をしてみたところ、それについてメルリン氏はこう語ってくれた。
「ノモス グラスヒュッテも2020年に30周年を迎えます。そしていまやドイツでは大成功を納めました。グローバルで考えてもドイツほどではないものの順調に伸びています。ただ、さらに伸ばすためには、新しいユーザーの獲得も必要です。今回のブレスモデルの投入はそのような意味合いも含まれているのです。そのため、ブレスレットの開発には2年を費やし、ノモス グラスヒュッテ本来の高いデザイン性を損なうことなく、着け心地と軽さ、扱いやすさに徹底してこだわりました」
また、同様に2017年に新コレクションとして登場した価格を抑えたエントリーモデル“クラブ キャンパス”にもブレスモデルを今回新たにラインナップさせたことにも触れ、
「ノモス グラスヒュッテは新しいコレクションを開発する際には、常に時計としての機能を高めた新モデルを発表していますが、そうやってどんどん高額化するのではなく、買いやすい価格帯のエントリーラインについても同じように毎年強化していきたいと思っています。これはとても大切なことで、そうすることによってより多くのユーザーにノモス グラスヒュッテの良さを感じてもらえると同時に、若い人たちも含めて新たなユーザーの獲得にもつながると考えるからです」
手巻きだけだったクラブ キャンパスのラインナップに、新たに3種類の自動巻きモデルが追加され、そのうちの2種類がブレスモデルとして投入された。選択肢が増え、プライスレンジの幅も広がるなど、エントリーラインが充実することは、買いやすさという点で今後大きな魅力となるに違いない。
さて、今回は注目すべき発表がもうひとつある。それは日本限定モデルだ。2020年はノモス社が30周年を迎えると同時に、大沢商会が正規輸入代理店としてパートナーシップを締結してからちょうど20年になるという。
今回、それを記念した日本限定モデル「フォーシーズン」をこの9月から発売する。ノモス グラスヒュッテの顔とも言えるタンジェントをベースに、日本の四季になぞらえて、それぞれの季節を色で表現。草木染めが施されたベルトに加えて、文字盤外周のミニッツサークルにもベルトと同様に季節の色が配されているのが特徴だ。
実際に着けさせてもらったが、35mm径に厚さは6.5mmと小振りなため、手首の細い筆者にはバツグンのサイズ感だった。さらに、色合いも上品でスーツスタイルにも程よいアクセントになり合わせやすい。
ちなみに着けたモデルは冬をイメージしたという最もシックな色合いだったが、このほかにも春、夏、秋とそれぞれに合った3色がリリースされる。どの季節も日本の伝統色を思わせる上品で落ち着いた色合いだ。発売は下の写真で左側2色が今年9月、右側の2色が2020年3月を予定。季節によってサイズ展開が違うのでご注意を。
久しぶりの再会ということもあって、取材を終えた後に記念にと一緒に写真を撮らせてもらった。ご覧のとおりメルリン氏は相変わらずのイケメンなのである。
取材・文◎菊地吉正/写真◎笠井修(取材写真)/取材協力◎大沢商会 TEL.03-3527-2681
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