• facebook
  • twitter
  • instagram
HOME > SPECIAL > アカデミーの正会員に認定されたクドケの卓越したウオッチメイキング

アカデミーの正会員に認定されたクドケの卓越したウオッチメイキング

KUDOKE

クドケ

 
 独立時計師として活躍するステファン・クドケ氏が展開するドイツの時計ブランド“クドケ(KUDOKE)”。2018年には自身初となる自社製手巻きムーヴメント、カリバー1を完成させ、それを搭載したクドケ1と、続く第2弾のクドケ2を19年に発表。同年にはこれら2モデルの創造性と技術力が高く評価され、独立時計師協会(AHCI、通称アカデミー)の準会員に選出されたことは記憶に新しい。
 
 ご存じない方のために、このアカデミーがどういったものかお伝えさせていただくと、1985年に時計技術の継承を目的に優れた技術をもつ時計師を中心に結成された歴史ある協会である。そのメンバーにはフィリップ・デュフォー氏や日本人では菊野昌宏氏や浅岡肇氏が名を連ねる。正会員は現在、世界に30人ほどしかおらず、協会の正会員は時計業界では常に注目されている存在だ。
 
 そんな同氏が21年、アカデミーの正会員に認定されたといううれしいニュースが届いた。これによって今後ますます注目を集めるであろう同氏の簡単な経歴と、主要なコレクションを改めて紹介したい。
 

 
 クドケは、熟練の彫金師であり同時に有名ブランドでトゥールビヨンなどの複雑機構を開発・製作してきた時計師でもあるステファン・クドケ氏が2007年に立ち上げたブランドだ。機械式ムーヴメントの独特な造形的魅力を最大限に引き出しつつも、彫金師としての高度な技術を融合させたスケルトンウオッチを得意とする。“KUNSTwerk”(ドイツ語で芸術作品の意)と名付けたコレクションより、人気モデルのひとつが“クドクトパス”だ。
 

クドクトパス


文字盤にエングレーブでリアルなタコのモチーフをあしらった遊び心あふれるデザインが独特な存在感を示す。優れた彫金師でもあるステファン・クドケ氏の真骨頂を発揮する作品である。SS(42mm径)。5気圧防水。手巻き(ユニタス6498)。132万円

 
 そしてもうひとつ見逃せないのが、アカデミーメンバー選出のきっかけともなった自社製造のムーヴメントを搭載するコレクション“HANDwerk”(ドイツ語で手仕事の意)である。2019年のジュネーブ時計グランプリ(GPHG)で、“小さな針賞”を受賞した“クドケ2”は、12時位置に氏自身によるエグレービングによる夜空と星、そして太陽が描かれたナイト&デイ表示を備えたモデルだ。
 

クドケ2


12時位置に繊細なエングレーブが施されたナイト&デイ表示を備えるクドケ2。注目してもらいたいのはその形状で、実は“ドーム状のディスク”となっているのだ。これにより立体感が生まれ、時計の表情をさらに豊かにしているのだが、当然ながら一般的な平面ディスクにエングレービングを施すよりも作業ははるかに難しい。氏の彫金師としての力量の高さが発揮されたポイントだ。SS(39mm径)。5気圧防水。手巻き(Kaliber 1 in version 24H)。132万円

 
 これらクドケの時計は、デザインから図案のスケッチ、パーツの切り出しからムーヴメントの組み上げに至るまで、その一切を氏自身が手作業で行っている。ほとんどを手作りによって完成した時計は、もちろんひとつとして同じものが存在しない。まさにこれこそがクドケならではの魅力となっているのである。
 いまや多くのバックオーダーを抱えるほどの人気を博すクドケ氏の、繊細にして独創的なコレクションは、まさに一見の価値ありである。
 
文◎堀内大輔(編集部)
 
 

問い合わせ:シェルマン日本橋三越 TEL.03-6225-2134 http://www.shellman-online.jp

 

2021.12.29 UPDATE

RECOMMENDED

 2008年に創業したモリッツ・グロスマン。ドイツ時計産業の聖地であるグラスヒュッテにおいて、最も新しい時計メーカーでありながら、いまやドイツを代表する高級時計メーカーのひとつとして確固たる存在感を示している。

SPECIAL  

ザクセン州の首都ドレスデンに工房を構える独立系ブランド、ラング&ハイネは、往時の宮廷時計の伝統を受け継ぐ時計作りを現代に貫き、徹底したハンドメイドにこだわっている。

SPECIAL  

ドイツ南西部に位置するシュヴァルツヴァルト(黒い森)地方に興り、この地域の時計産業を牽引したユンハンス。同社への本社取材レポートをお届けする。

SPECIAL  

2016年に発表されたグラスヒュッテ・オリジナルの新ベースムーヴメント、Cal.36。同社はこのムーヴメント開発にあたり、四つの原則を掲げたという。

SPECIAL  

LATEST ARTICLE

ヴェンペはドイツにクロノメーター検定を復活させた立役者だった!

長らく歴史の途絶えていたドイツのクロノメーター検定を復活させたヴェンペ。その拠点となるのが同社が所有するグラスヒュッテ天文台である。

SPECIALSPECIAL  

12月19日まで。14のドイツ時計ブランドが集うフェアが日本橋三越本店で開催!

日本国内で取り扱いのある14のドイツ時計メーカーが一堂に会する“ドイツ時計フェア2023”が日本橋三越本店 本館6階 ウォッチギャラリーで絶賛開催中だ。今年で5回目を迎えるフェアのテーマは“ドイツらしさ!”。

INFORMATION  

【ドイツ時計を深掘り】”ノモス グラスヒュッテ“から“クラブ キャンパスシリーズ”に流行のカラー文字盤モデルが登場!

 ドイツの時計製造聖地であるグラスヒュッテに本拠地を置く時計メーカー“ノモス グラスヒュッテ”がエントリーモデルである“クラブ キャンパスシリーズ”に流行のカラー文字盤を取り入れた最新作を発表したため、その詳細をお伝えす […]

WHAT’S NEW  

【ドイツ時計を深掘り】A・ランゲ&ゾーネの最新直営店がオープン!

 1845年、グラスヒュッテに時計産業を興したアドルフ・ランゲ。彼が興したA・ランゲ&ゾーネは、いまなおグラスヒュッテの市街地にあり、ドイツで最も優れた時計を作っている。しかしその歴史は必ずしも順風満帆とはいえな […]

INFORMATION