【2022年新作時計速報】A.ランゲ&ゾーネ|伝統を重んじながらも時代ともに進化するブランドの最新形。3型全4モデルを発表
A.LANGE & SÖHNE
A.ランゲ&ゾーネ
ドイツのザクセン地方で時計を作り続けるA.ランゲ&ゾーネ。同社から発表されたばかりの2022年新作モデルを速報としてお伝えしよう。
リヒャルト・ランゲ・ミニッツリピーター
A.ランゲ&ゾーネがかつて製作した科学観測用デッキウオッチの伝統を受け継ぎ、1868年に工房の経営を受け継いだリヒャルト・ランゲの名を冠するコレクションに新作が登場した。
この時計が備えるのは、伝統に倣った仕様でありながら、現代にふさわしく進化させたミニッツリピーターである。
腕時計のソヌリ機構のなかでも、時刻を分単位の正確さで打ち鳴らすミニッツリピーターは、精密時計を作るうえで最も難しく奥が深い複雑機構である。A.ランゲ&ゾーネにおけるミニッツリピーターの歴史は、19世紀末の懐中時計の時代まで遡り、新生なった現代のA.ランゲ&ゾーネでもその技術は引き継がれている。
このモデルのために新開発されたCal.L122.1に備えられているハンマー打ち機構は、ケース左側面に取り付けられたスライダーを操作すると時、正15分、分の数を打ち鳴らすという伝統的な打鐘形式に基づいて設計されており、高音と低音に調律された二つのゴングが、12時間周期で1分ごとに異なる打鐘シーケンスで時刻を奏でるようにプログラミングされている。つまり、打鐘のパターンは720とおりにもおよび、低音で時、重複音で正15分、そして高音で最後の正15分から経過した分を表している。
A.ランゲ&ゾーネのミニッツリピーター機構で大幅な進化を遂げたポイントは三つ。そのひとつ目は、ハンマー打ち機構の一時休止省略機能である。正時を打った後に正15分を打つ必要がない14分間は、従来のリピーターであれば、時を打った後、少し間を置いて分を打鐘します。この間が空くのを防止するために装備された機能だ。二つ目は、リューズを引き出した状態でミニッツリピーターが作動して、ハンマー打ち機構を損傷するのを防ぐための保護機構である。この機構はさらに、ハンマー打ち機構が作動している間は、リューズを引き出せない仕組みとなっている。
そして最後が、特許技術のハンマーブロッカーだ。これは、ハンマーがゴングを叩くたびにハンマーを一瞬、初期位置に留め、ハンマーが反動で再びゴングに当たらないようにする装置。万事、正確性を追求する同社らしい機能と言えよう。
またサファイアクリスタルのシースルーバックからムーヴメントをのぞけば、光沢研磨によって艶やかに輝くハンマーが、ムーヴメントをぐるりと囲むゴングを打鐘シーケンスにしたがって打つ様子をつぶさに見ることができる。
プラチナ製ケースにスリーパーツ構成のエナメルダイアルを収め、聴覚だけでなく視覚的にも満足させてくれるA.ランゲ&ゾーネが考える正統派ミニッツリピーターだ。
オデュッセウス
2019年に新たなプロダクトファミリーとして登場したオデュッセウスは、それまでハイエンドなドレス系モデルを中心に展開してきたA.ランゲ&ゾーネとしては型破りな、スポーティブな雰囲気をまとったブレスウオッチだ。スタンダードモデルとしては初めて外装にステンレススチールケースを用いたことも話題となり、防水も12気圧を確保。アクティブなライフスタイルに向けたモデルとして、同社のラインナップで異彩を放ちながらも、ユーザーから高い人気を獲得している。
そんなオデュッセウスの第3弾としてこのたび発表されたのが、ブランド初となるチタンウオッチである。大きなデイデイト表示と、それを進めるためのピラミッドのような特徴的な形状のボタンを備えた、見まがいようのないデザインは従来オデュッセウスから踏襲する一方、独特の装飾で表面を仕上げた新色のアイスブルーカラーという新鮮な文字盤が採用された。
この文字盤のなかでも特徴的なのが、時リングの装飾だ。実はこの時リングの装飾は、第1弾、2弾モデルともにそれぞれが異なっており、第3弾モデルでは繊細なギョーシェ彫りの溝がゆるやかなカーブを描いて時インデックスへと伸びている。これによって、まるでインデックスが埋め込まれているかのような印象を与え、立体感を生み出しているのだ。
ステンレススチールよりもより約43パーセントも軽いチタンを採用することで、いっそう装着感を向上させた新作は、ブティックのみの取り扱いで、世界限定250本となる。
グランド・ランゲ1
2003年に発表されて以来、A.ランゲ&ゾーネのコレクションで不動の地位を築き、12年からはこのモデルのために開発された専用ムーヴメントを搭載しているグランド・ランゲ1にニューバージョンが登場する。
新しいグランド・ランゲ1では、ケースのプロポーションが刷新されており、厚みが従来の8.8mmから8.2mmに薄型化し、時計が腕元にぴったりとフィットする快適な装着感が追求された。このエレガントなプロポーションにあわせ、文字盤カラーにはグレーを採用し、シックな雰囲気に仕上げている。またメインダイアルにマット仕上げ、サブダイアルは同心円を幾重にも刻んだアジュラージュ仕上げと、異なる仕上げを施し、立体的かつ精緻な装飾でエレガントな印象を引き立てている。
外装はホワイトゴールドとピンクゴールドの2種がラインナップ。前者にはブラックの、後者にはレディッシュブラウンのレザーベルトが組み合わされている。
文◎堀内大輔
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