DAMASKO

ダマスコ

 
　金属加工会社を母体に、先進技術を取り入れた時計作りを展開するドイツ屈指の技術系時計ブランド、ダマスコ。まだまだ知名度は低いが、その強靭で実用性に優れた時計が目の肥えた時計好きから支持を集めている。今回はその実力を探っていこう。
 
 

TOPICⅠ：DAMASKO（ダマスコ）とは？

 
　実用時計にとって最も重要なもの、それは機能性と信頼性である。ドイツのレーゲンスブルクで1994年に誕生したダマスコは、この二つの条件を最高レベルで満たすドイツ屈指の技術系の時計ブランドだ。創業者であるコンラッド・ダマスコ氏は、元々は時計師ではなく、金属加工のスペシャリストであり、ダマスコも90年に創設された金属加工会社を母体にしている。
 
　一般的な時計ブランドであれば、時計学校を修了した時計師により、これまでに長い歴史のなかで蓄積された製造の技術を生かして時計を開発するが、ダマスコは、潜水艦やスペースシャトルなどを製造する際に使われる先進の素材、技術をもとに、時計専業メーカーにはない金属加工会社独自のアプローチに挑戦。
 

 
　自社製ムーヴメントに関しては内部の部品、90％以上を設計段階から自社で製造、ステンレススチールの硬化処理、リューズ、ベゼル、インナーケースなど100種以上の特許を取得。時計界でも数少ないマニュファクチュール（ムーヴメントを自社製造する時計ブランド）として、ほかを圧倒する強靭で実用性の高い時計を生み出しているのだ。
 
》編集部のおすすめモデル
DAMASKO（ダマスコ）
TYPE DCユーロファイターモデル
ドイツ軍主力戦闘機ユーロファイターのマッハ1.5での急加速、急旋回、急降下の重力加速度12Gにも耐える最強クロノグラフ。通常の４倍の硬度710HVステンレススチール、80000A/ｍの対磁性、100m防水を標準装備。パイロットスタイルの機能的デザインを採用し、高度な視認性とタイムレスな機能美を獲得している。
 

TOPICⅡ：実用性を高める10個のテクノロジー

 
　設計段階から自社一貫製造を行い、クオリティ重視の時計作りを続けるダマスコ。金属加工会社として培って来た知識と経験を土台にして、腕時計の開発はもちろんのこと、そこに搭載される新たな技術の開発を積極的に進めている。
 
　ここでは、自社製の“シリコン製ヒゲゼンマイ”、メンテナンスのインターバルを延ばす“脱進機（特殊コーティングを施したアンクル、ガンギ車により、潤滑油なしで精度を保つ）”など、ダマスコが誇る独自技術のなかから、主要な10個をクローズアップ。こうしたダマスコのテクノロジーは、プロフェッショナルウオッチとしての信頼性を証明すると同時に、その卓越した技術力の証でもある。
 
 

》其の1、全モデルDIN規格

 
　ドイツ連邦共和国が制定する工業製品に関する国家規格に準拠。全モデルで、耐衝撃性、耐磁性、耐水性に関してDIN規格に準拠した機能を実証している。

》其の2、素材と硬化処理

 
　ニッケルフリーで金属アレルギーを起こしにくい高硬度な740HVステンレススチールを採用。さらに特許取得の硬化処理技術により、通常の4倍の硬度を備えている。

》其の3 & 4、特許取得のリューズとプッシュボタン

 
　硬化処理を施した710HVステンレススチール、2ｍｍの六角ボルトを採用した特殊構造、摩耗と摩擦を排除したガスケットシステムで高度な耐久性を実現。

》其の5、特許申請中のベゼル

 
　自社工房で一貫して設計、製作を行う回転ベゼル。加工精度の高さに加え、摩耗に強く、すり減り、緩みが生じにくい特殊な構造を採用し、耐久性を高めている。

》其の6、シリコン製ヒゲゼンマイ

 
　自社工房で一貫して設計、製作を行う回転ベゼル。加工精度の高さに加え、摩耗に強く、すり減り、緩みが生じにくい特殊な構造を採用し、耐久性を高めている。

》其の7、特許申請中の脱進機

 
　アンクルとガンギ車に特殊な超硬カーボン膜を施し、摩擦係数を軽減化。劣化の原因となる潤滑油の注油が不要なため、長期間にわたって精度を維持できる。

》其の8、自社開発のボールベアリング

 
　自社開発、製造を実現したシリコン生成のマイクロボールベアリングを主ゼンマイに採用。巻き上げの際に生じる抵抗を抑えて極端な摩耗を回避し、耐久性を高めている。

》其の9、DAMESTコーティング

 
　ケースやブレスレットに使用される素材に多層コーティングを施し、厚さ約7ミクロン、710HVの硬化コーティングを実現し、美しいケースの状態を保ち続ける。

》其の10、磁気プロテクト

 
　特許取得済みの特殊なアイス硬化ステンレススチールを組み合わせたインナーケースでムーヴメントを格納し、すべてのモデルで80000A/mの耐磁性を確保。

TOPICⅢ：ダマスコの代表モデル3機種の実力

 
　パイロットウオッチの機能的なデザインをベースに、多彩なモデルをラインナップするダマスコ。プロ仕様の実用時計として進化を遂げる定番モデル3機種を見ていこう。
 
 

TYPE DAスリーハンド回転ベゼル

 
　大きめのアラビアインデックス、幅の広いソードハンドを配置したパイロットウオッチスタイルのデザインをベースに、時間経過を計測できる両方向回転ベゼルを搭載したTYPE DAシリーズの派生モデル。
 

TYPE DSスポーティスリーハンド

 
　DIN規格に準拠し、それを超える自社規格の耐磁性、耐久性、防水性を備えつつ、ダマスコで最も薄い9.95mmのケース厚を実現。耐磁インナーケースを格納しているとは思えない薄型のフォルム、39mmの程よいサイズ感により、タフな実用時計でありつつ、ストレスなく着けられる快適な装着感を獲得している。
 

TYPE DAクラシックスリーハンド

 
　写真の変形バーインデックス仕様のほか、アラビアインデックス仕様、回転ベゼル搭載モデルなど豊富なバリエーションを展開するベーシックシリーズ。計時機能を邪魔しないように文字盤と同色に仕上げたカレンダーディスク、中央にプリントされた十字のマーキングなど、視認性への強いこだわりが光る。
 

 
 
 
文◎船平卓馬（編集部）／写真◎水橋崇行
 
 

2020.01.28 UPDATE